口内炎と口腔がん

食事中に舌や唇などに強い痛みを感じて憂鬱になった経験はありませんか?一般的に口内炎は、口腔内や周辺の粘膜に起こる炎症の総称であり、最も多いのが「アフタ性口内炎」です。原因ははっきりと分かりませんが、体調不良など免疫力低下により発症しやすいとされています。治療法はステロイド含有軟膏や貼付薬などで、通常1週間程度で改善します。

ほかの要因で生じる口内炎もあり、例えば、「カンジタ性口内炎」は、口腔内のカビが原因で発症します。このほか、ステロイドやリウマチに対する薬を服用している場合に副作用によって口内炎が発症することや、抗がん剤を投与している場合に広範囲に発症することもあります。

ただ、口内炎と思っていても2週間以上治癒しない時には注意が必要です。それは「口腔がん」が潜んでいることがあるからです。口腔がんかどうかを確認するには、組織の一部を切除して細胞を調べる病理検査が重要となります。

口腔がん初期の場合、口内炎と同じような症状がみられます。しかし、進行するにつれて病変部周囲のしこりや潰瘍、出血がみられるようになります。それに伴い咀嚼や嚥下、発音が障害されるほか、開口障害なども認めるようになります。口腔がんの要因には、たばこやお酒のほかにむし歯や不適合な義歯による慢性刺激、口腔衛生不良などが挙げられます。これらは口腔内の粘膜細胞を傷つけてしまうことから、細胞の遺伝子ががん化するリスクを高めてしまうのです。

治療法は、初期の口腔がんでは病変を切除することが一般的です。進行するにつれて首のリンパ節などに転移していくため、手術以外に放射線や抗がん剤などの化学療法を組み合わせた治療が必要となります。がんの発生部位や病状の進行により異なりますが、口腔がん全体の5年生存率は60~70%です。ただ、初期であればほぼ100%治癒しますので、早期に発見することが重要です。不安に思われる方は、お近くの口腔外科への受診をお勧めします。

(中日新聞から引用記事)