患者の舌の下に小さな硬いものがある。よく見てみると、口の底の真ん中に近い部分が赤く腫れている。その中心部に白っぽい、小さな硬いものがある。舌で触れて発見できる。唾石症である。
唾石症は唾液腺やその導管内に結石ができる疾患。唾液腺の上皮が剥離したものや細菌が核となって、唾液から析出されたカルシウムが沈着して結石になるのではないかとされている。そのためか、唾液腺の導管が長く、唾液の粘稠度が高い顎下腺に多い。
唾石は通常、唾液の分泌により押し出されるが、唾石が導管内で引っかかると唾液が出にくくないり、唾液腺が腫れて痛みを生じることがあります。症状を繰り返していると化膿することもあります。
唾石の治療は摘出術が行われます。腎結石のように衝撃波で砕いたり、胆石のように薬で溶解したりする治療はありません。導管内なら口腔の粘膜を切開して摘出します。顎下腺内の場合には皮膚切開して唾石を顎下腺ごと摘出します。
唾石症が疑われる場合には、歯科口腔外科を受診することをお勧めいたします。